『兵庫県民歌』の記録と記憶
1947年に制定された『兵庫県民歌』はなぜ歴史から抹消されたのか
《募集要項》
祖 国 再 建 の 明 朗 譜
兵庫県民歌募集要項
兵 庫 県
一、趣 旨
日本再建の途に立つ兵庫県民を不断に力づける美しい言葉とその諧律を求める。即ち民主主義新憲法発布を機として兵庫県民愛誦の歌曲を作ろうというのである。
二、内 容
日本列島の中央の兵庫県、美しい広いその土地、古く雅かなその歴史、豊かなるべき産業、面してはるけく開くその理想に培う県民の強い意志と適わしい感情等を歌いこんで、随時随所県民愛誦して新たなる力と熱の不断の源泉たらしむべき詩譜。
三、 審 査
著名の学者及文芸家、関係各界の代表者の中適任者に付寄審査を委嘱する。
四、 賞
入選作者には兵庫県知事の表彰状及左の副賞を贈る。
一等 一萬円 一名
佳作 二百円 一〇名
五、 処 理
1 入選作は新聞、雑誌等に発表し又は印刷頒布によって普及を図る。
2 入選作は適当な専門家に委嘱して作曲する。(作曲に当っては歌詞其他適宜
主催者に於て添削することあり)
3 普及音楽会を主要地区毎に開催して普及を図る。
六、 応 募 規 定
応募規定は左の通りであるがこれに反した者には入選の資格がない。
1 応募者資格 限定せず
2 締 切 昭和二十一年十一月三十日
(但し同一日付の郵便局消印あるものは認める)
3 用 紙 普通半紙大の用紙(和洋紙、白紙、原稿紙等何れにてもよい)
4 制 限 一人一篇に限る(但し一片の長短及詩形は自由である)
5 記載形式其他
イ、 原稿末尾には必ず作者の「住所」「職」「氏名」を明記すること。
(この名はペンネームのほか通称以外の匿名はいかない)
ロ、 原稿頭部に必ず『応募兵庫県民歌』と朱書すること。
ハ、 原稿は必ず封筒に入れて郵送すること。(持参してもよい)
封筒の表面には必ず「兵庫県民歌応募原稿」と朱書すること。
ニ、 宛名は「兵庫県教育民生部社会教育課兵庫県民歌募集係」とすること。
ホ、 入選作品に関する一切の権利は主催者が持つことになる。
ヘ、 一旦受け取った原稿は如何なる場合にもこれを返却しない。
日 本 の 心 臓「兵 庫 県」の 歌
※[復元]原文は旧字・旧仮名遣い。
強
く
、逞
し
く
、
し
か
も
美
し
く
兵
庫
県
民
歌
募
集
【解説】1946年(昭和21年)の秋頃に配布されたとみられる『兵庫県民歌』の募集要項である。応募資格は県在住・出身者に限定されておらず、主に懸賞雑誌を通じて全国から720編の応募があった。
枠外に記載されているキャッチコピーの内「日本の心臓」は何か由来があるのではないかと思い、調べてみたところ1938年(昭和13年)に制定された初代の神戸市歌(作詞・武藤重勝、作曲・橋本国彦)の一節であることがわかった。