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 若葉薫る三日、国民の手に主権が帰り今まで想像もしなかったような自由を獲得した国民門出の日曇り気味の空から時折陽光がのぞききょうから新たに生れ出た明日の日本を祝福すれば、封建日本のほこりを夜来の雨ですっかり洗い落した美しい新緑の若葉が目に痛いようにしみ入る、この日新憲法実施と新市域各町を記念して神戸市では盛大な祝賀の式を挙げ神戸市選出の代議士、参議院議員以下五百名参列のもとに自治功労者、篤農家などの表彰をおこなったが、一方街には五台の花電車が繰出し湊川公園前で日本ニュースがカメラを向ければ、花バスは奇術、漫才、歌謡隊の演芸隊を乗せて山田、有野、有馬へと新市域を走り、三越では郷土風物展が開かれ会場の一隅のミス神戸嬢の新市域訪問団が有馬の一大観光ホテルや岩岡村に運河が通じていたり未来の新市域を描いて県物の群を集め広告祭ではけんらんの衣しょうと趣向の競演に街行く人の眼を奪うなど官公署、会社、学校などもほとんど休んで全市をあげて若葉の五月を祝賀調一色で塗りつぶした、また各区でも演芸会や音楽会、小学校、中学校の対抗野球、バレーの試合などをおこない佳き一日を祝った

繰出す花バス・花電車 港都に沸く新日本誕生の歓声

(出典)神戸新聞・194754日付2面 ※原文は旧字・旧仮名遣い

 

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県の憲法祝典

 

 兵庫県では三日午前十時半県会議事堂で新憲法実施記念式を挙行、岸田知事、参衆両院議員、各界代表、県職員など五百名参列して国歌せい唱、原口参議院議員、松沢代議士、神戸市長、商工会議所会頭、兵庫軍政部司令官代理及び岸田知事が祝辞を述べ県立第一高女生徒が新憲法公布を記念して制定された県民歌を斉唱して閉式、引続き祝賀会に移り、一同乾杯、岸田知事の発声で万歳を三唱して新憲法の実施を祝福した

 

写真(中)県の憲法祝賀会における県一高女生の県民歌の合唱 ※写真の(上)と(下)は省略

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